最初に国際的に認識されたアルファベットは、1927年にITUにより制定された。使用された結果の問題点を反映して、1932年に改訂された。この結果はICAN(ICAOの前身)にも採り入れられ、第二次世界大戦中の民間航空に使用された。また、IMOも1965年まで使い続けた。
Amsterdam Baltimore Casablanca Denmark Edison Florida Gallipoli Havana Italia Jerusalem Kilogramme Liverpool Madagascar New_York Oslo Paris Quebec Roma Santiago Tripoli Upsala Valencia Washington Xanthippe Yokohama Zurich
第二次世界大戦(特に1941年以降)には、連合軍が共同作戦を遂行することが通常となったため、陸軍・海軍フォネティックコードの発展につながった。また、いくつかのイギリス空軍フォネティックコードも使われ続けた。戦後も、民間に戻った多くの元連合軍将兵は、民間航空勤務に戻っても慣習で「エイブル Able, ベーカー Baker」を使い続けた。
Able Baker Charlie Dog Easy Fox George How Item Jig King Love Mike Nan Oboe Peter Queen Roger Sugar Tare Uncle Victor William X-ray Yoke Zebra
多数のコードに英語特有の発音が含まれていたため、ラテンアメリカでは代わりに「アナ/エイナ Ana, ブラジル Brazil」が使用された。こういった事情もあり、IATAはより普遍的かつ統合されたコードの策定を行うこととなり、英語、フランス語、スペイン語の音声を採り入れた新コードの素案を1947年に発表した。その後いくつかの修正と改良を加えたコードが、1951年11月1日に正式公開された。
Alfa Bravo Coca Delta Echo Foxtrot Golf Hotel India Juliett Kilo Lima Metro Nectar Oscar Papa Quebec Romeo Sierra Tango Union Victor Whisky Extra Yankee Zulu
すぐに、このコードには深刻な問題点が見つかり、現場では急遽エイブル・ベーカー式に戻された。体系を練り直すため、主にアメリカ政府及びイギリス政府により31ヶ国の話者が集められテストが行われた。混乱は主に「デルタ Delta」「ネクター Nectar」「ヴィクター Victor」等に見られ、他の単語においても受信感度が弱い地域において聴き取りにくいなどの問題点が見つかった。その後、結局 C, M, N, U, X の5文字が置き換えられた。
この最終版の通話表はICAOにより1956年3月1日に公表された。ITUがすぐにこれを採り入れたことは、1959年のITU無線規定に現れるため疑う余地がない。無線通信に関する国際的な取り決めはITUが行うこととなっているため、軍隊、民間、アマチュア無線(ARRL:アメリカ・アマチュア無線連盟)によって使われるようになった。最終的には、IMOが1965年に採用を取り決めた。
1947年のITU制定における数字に関する借用語(Nadazero Unaone)は、1965年にIMOに再借用された。
運用 [編集]
単語の多くは、英語を母語とする話者によって認識しやすい。理由として、航空機と管制塔の間での通信は、国をまたがっても英語でなされることが多いためである。しかし、このケースは国際的な運用にのみに当てはまり、国内線のような同国どうしの通話の場合は、その国が選んだもう一つのフォネティックコードが使われることがある。
大部分のコード表においては、英語でない単語・綴りAlfaおよびJuliettが現れる。Alfaは"f"で綴られるが、これはスペイン語を筆頭とする多くのヨーロッパ言語でこの音を"ph"で綴らず、"ph"は/p/の音で発音されるためである。また、Juliettは本来の綴りがJulietであるところ、末尾が"tt"と重ねられる。これは"t"単一の場合、フランス語話者が子音の発音を省略するためで、フランス版ではJulietteと綴られる。しかしICAOは末尾の"e"を採り入れていない。これは、スペイン語話者が/teh/と発音するためである。英語版のコード表、たとえばANSIのコード表では、どちらかもしくは両方が英語の標準的な綴り(Alpha・Juliet)に戻されている。
このコードは、通話・通信中にコールサインを通達する際、または音声による通話が困難な際、重要なメッセージを送る際に正確を期する際などに使われる。たとえば「proceed to map grid DH98(地図上DH98地点へ進め)」は、"proceed to map grid Delta-Hotel-Niner-Eight"と送信され、C-130輸送機が前方にいることを通達する際は「Charlie One Three Zero in your twelve o'clock」と送信される(twelve o'clock=12時方向=前方)。「Checking six」と言えば“後方注意”(6時方向=後方)。また、コードが良く知られたために逆に通常の会話に定着した例もある。「よくやった」を"Bravo Zulu"(BZ)と言う場合[2]や、かつてベルリンが東西分割されていた際の「チェックポイント・チャーリー Checkpoint Charlie」(C検問所 他にA・Bもあった)が有名である。SWATなどの特殊部隊では、Tango(T)はテロリストを、Sierra(S)は狙撃手 sniper を意味する(例:「テロリスト射殺」Tango down、「狙撃班、撃ち方止め」Sierra cease-fire)。
各国語拡張 [編集]
ドイツなど、ドイツ語圏の話者はずっとウムラウトで母語を書き表すことに慣れている。このため、ICAOは彼らのために、ウムラウトによる発言を伴う綴りを用意し、NATOでも次のように拡張した。
Ä(A-ウムラウト):Ärger(怒り)
Ö(O-ウムラウト):Öse(鳩目)
Ü(U-ウムラウト):Übel(害悪)
これらはICAOの標準アルファベットではない。また、ドイツ語圏以外ではほとんど知られていない。ドイツ語圏でよく使われる他の3つの文字(の組み合わせ)「Ch」「Sch」「ß (エスツェット)」は、別の綴りが用意されていないが、一部の例外を除き、軍事用途などでは慣例で使用されている。
変形 [編集]
アメリカのいくつかの空港では、Deltaがデルタ航空のコールサインであるため使用が避けられる。代わりに「Dixie ディキシー(水兵)」が使われるのが一般的なようである。
Foxtrotは、アメリカの空港ではFox(フォクス)と短縮されることが多い。
アマチュア無線や市民バンドでは、Kiloの代わりに時折Kilowatt(キロワット)を使う。また、日本ではPを「ポーチカル」と呼ぶことがあるが、このような発音をする英単語は存在せず、Portugalの転訛と思われる。
フィリピンではしばしばHotelの代わりにHawkが使われることがある。
インドネシアではLimaはインドネシア語の“5”になるので、代わりにLondonが使われることが多い。
このほか、送信者がより簡単に覚えることができる多くの非標準的なコードが、標準に強制されない用途で使われている。
チック ぐうわ ラガーマ ヒール 黄砂の時間 ヨル ラジル セルン レイン ピックス フリーク 黄金バッド ランナー ウエポン ハムスライ かいわれ セサミン ガスホ ラスパ ヒップ バレンタ ルナス フェミニ ホガニー オランウー トレイン レッスン キムチ ビーチ サイト リードグ シルバ シフォンケ グッド カプチーノ ヒット フェロ ビーシ 男の街 フリー ミニマム ウンボク りゅうがん オーナー ちりめん ブーケト キレート フレン ドライバー バリュー
Alan Bobby Charlie David Edward Frederick George Howard Isaac James Kevin Larry Michael Nicholas Oscar Peter Quincy Robert Stephen Trevor Ulysses Vincent William Xavier Yaakov Zebedee
この他にもバリエーションがあるが、こういったコードは男性名や分かりやすい都市名からなることが多い。
ドイツでは、人気番組「ウィール・オブ・フォーチュン」で使われて大衆化された半官的なコードが使われることがある。
過去のコード [編集]
上記のコードに加えて、他のいくつかのコードが過去に使われた。
第一次世界大戦・西部戦線の塹壕スラング:Ack Beer Charlie Don Edward Freddie Gee Harry Ink Johnnie King London Emma Nuts Oranges Pip Queen Robert Esses Toc Uncle Vic William X-ray Yorker Zebra
これはイギリス空軍のスラングが起源と思われる(たとえばemma:朝、pip emma:午後、ack-ack:対空砲)。Ack Emmaは「機上整備員」の意味で1914-1918年に使われた。
第一次世界大戦当時のイギリス海軍:Apples Butter Charlie Duff Edward Freddy George Harry Ink Johnnie King London Monkey Nuts Orange Pudding Queenie Robert Sugar Tommy Uncle Vinegar Willie Xerxes Yellow Zebra